施工事例

格子の家(新築)

出会い

起業2年目で海のモノ山のモノともまだわからない弊社に声をかけて頂き、1年後に完成した家。弊社にとって忘れない建築です。のちの”光と風の部屋のある家“の息子ご夫妻の家にもつながります。

プロセス

仏間と本の収納、ダイニングを堀座卓する条件以外、全て任せるよと仰って頂き、任せてもらえるうれしさとその信頼に応えなければならない責任の重さを感じながらの仕事でした。持てる力をありったけ注ぎ込む気持ちで励みました。今、振り返ると、意気込みが空回りした部分も見受けられますがその時、精一杯のことはやりましたので後悔はありません。当時、市内の新築は、昔ながらの田の字型間取りの伝統的な和風の家と、ハウスメーカー的な新建材(非自然素材)で作る家の家が主流でした。一方は先人が積み重ねてきた地域・風土に根差した建築の良さ、もう一方は工事が早く現代生活にフィットする良さがありますが、物足りないものも感じていました。両者の良さを活かし、物足りないものを補えば良い建築になると思いで設計しました。具体的にハード面は、壁は竹でエツリを掻き荒壁で仕上た上に外断熱としたハイブリットな断熱へ。構造材の美しさを活かすため一部の天井を梁見せとし、内装材は主に自然素材を採用しました。建具は既製品ではなく職人が造るオーダー建具です。ソフト面はご夫婦が1階だけで生活ができ、来客用と家事動線(表動線と裏動線)がある間取りや、仏間は伝統的な仏間ではなく普段の生活に溶け込んだ和室、また室内に居ても外とのつながりが感じられる窓など。佇まいは敷地周りの風景(藤原岳、近隣に建つ温泉施設)に調和させることを意識し、2階建て部分の重心を後ろに下げ圧迫感を抑えました。考えてみるとあつみ建築の原形がこの家だと言えます。おかげさまでお施主様には喜んで頂き、また副産物として現場見学会には120組の来場あり(目が回りました(笑))、某メーカーのカタログにはその年の代表的な家として載りました。でも、この仕事で一番印象にあるのはご主人の収集した、8畳二間が天井一杯にまで埋まる、たくさんの本!この本の収納問題は息子ご夫妻の家へと引き継がれていきます(笑)。